TOP > 15歳からの株式投資 目次 > A「株式投資」とは何か > A-4 株式会社の簡単な歴史

A-4 株式会社の簡単な歴史

A-4-1 世界初の株式会社
株式会社の歴史を見てみると、株式会社は1602年のオランダ東インド会社が世界初の株式会社といわれています。当時はアジアから手に入れる香辛料は貴重品で、貿易は船で運んでいましたが、今と違って海賊はたくさんいるし(今でもソマリアにはいますが・・・)、諸外国との経済競争もありました。船も今と違って頑丈ではないので大変危険な航海だったそうです。船を造ったり船員を乗せるにはお金がかかりますが、少人数で出資して船を作って航海しても必ず無事に帰ってこれるわけではないし、諸外国との価格競争もあり、失敗すれば莫大な損害が出て非常にリスクが伴います。そこで、リスクを分散させるために、多くの人に出資をしてもらうことにしました。
しかし、出資をしたい人に、航海が失敗した時に拡大損害まで含めたすべての損害を負担させては、誰も出資をしようとしないので、航海に失敗しても出資した分だけ損失を被るだけですむ(これを現代では「間接有限責任(会社法104条)」という)ようにしました。リスクを小分けにして出資した分だけ負担を負い、航海が成功した時に、利益を出資比率に応じて分配できるように株式という方法にしたわけです。非常によく考えられたシステムです。
会社法 (株主の責任)
第百四条  株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。
このように、出資した範囲内で責任を負うという制度を作ったことによって人々はリスクある事業にも積極的に投資をするようになりました。こうしてリスクある事業にお金が集まるようになり資本主義は発展してきたのです。つまり「株式」という制度が「資本主義」を発展させたともいえるでしょう。



A-4-2 現代の株式会社
更に現代の株式会社は重要な意味を持ちます。それは株式を発行して集めるお金は返さなくていいお金だということです。自己資本ともいいます。

もし会社が銀行からお金を借りれば利子をつけて返さなくてはいけません。これを負債または他人資本といいます。銀行から借りたお金は銀行から返せといわれたら企業は返さなくてはいけないですし、また、銀行はリスクある事業にはなかなかお金を貸してはくれません。

一方株式を発行して出資者から出資してもらったお金は出資者に返さなくていいお金なので企業にとって非常に都合がよく、株式で集めたお金ならばリスクある事業にお金を使うことも出来ます。このように企業にとって株式発行による資金調達はとても重要な役目を果たしています。特にベンチャー企業のように成功するかどうか分からないけれど素晴らしいアイディアを持っているというような企業には銀行は将来性不確実であることから融資してもらうのは大変ですが、株式を発行して出資してくれる人がいれば集めた資金を元に、様々なアイディアや製品を実現していくことができ、ひいては技術革新や資本主義の発展に繋がります。このように株式会社というシステムは現代の技術革新にも非常に役立っているシステムなのです。



A-4-3 間接金融と直接金融
企業は短期間の会社の運転資金の場合は金融機関からお金を借りる間接金融を利用しています。最近は企業が設備投資などに多額の資金を使うために直接金融が多くなっています。直接金融とは投資家から企業が直接資金を調達することです。

間接金融(融資)   

利用者(預金)⇒銀行などの金融機関⇒企業

直接金融(株式・社債)   

投資家⇒企業



A-4-4 上場株式会社の問題点
市場を見ているとリーマンショック(2008年後半)から増資を頻繁に行うようになってきているように思えます。増資とは新株を発行して直接金融で資金を調達することですが、これを連発すると問題が起こります。それは既存株主の持分が希薄化するのです。特に企業によっては大幅な増資を数年かけて連発する事があり、持分が半分以下になってしまうこともありました。こうなると当然株価は暴落しますし、増資が完了した後はなかなか株価が上がらないという状態になります。例えばですがこのように通常増資されると持分比率が下がるので株価が下落するのです。
★=持分 ■=他の既存株主 □=新株発行分

増資前 ★★■■■■■■■■
持分20%

増資後 ★★■■■■■■■■□□□□□□□□□□
持分が10%になる
さらに、この希薄化以外に実は増資前になぜか空売り(※)が増加するというようなインサイダーの出現も東京市場では問題になっています。また、増資発表後は、増資するための発行価格を決めるまでにタイムラグがあり、そのタイムラグの間暴落をし続けるという事があります。それは、大口の投資家としては出来るだけ安い価格で新株を手に入れたいので大量の空売りを行って株価下落の損失を防ぎつつ、増資に応じて安く新株を手に入れるわけです。例えば東京電力(9501)の例です。
9501 東京電力
(※東京電力(9501)の場合は未曾有の東日本大震災で原発事故が発生したので、公募価格前に戻ることはまずないでしょう)
これは大口投資家のような余裕資金を持っている人とってはよいかもしれませんが、個人投資家は短期的なこの暴落を防ぐ手段はほとんどありません。個人投資家は現物株式持分と同数を信用取引で空売りするか、現物株式売ってしまうかしか損失を避ける手段がありません。現代の株式会社の悩ましい一面です。 もちろん、中長期的に見ればその増資した資金で新たな設備投資を行い、企業のその後の成長に結びつく事があるのでプラスに成ることはありますが、増資して、増資時点より株価が上昇するのは数年を要するのが普通なようです。この公募増資による株価暴落を利用して割安で株式を買うという手法も後々書きたいと思います。


まとめ

・株式会社は間接有限責任(会社法104条)
・株式会社が資本主義に寄与した
・株式というシステムが技術革新にも役立つ
・増資で新株発行されると既存株主は持分が希薄化する


用語解説

※空売りとは
株式を他人から借りて先に売り、安くなったところで株式を買い戻して貸してくれた人に返すことで利益を出す方法。信用取引で行う事が出来る。株価が下落する時に使うと利益が出る方法。


お勧め参考図書

4534044984.01.MZZZZZZZ.jpg 4534039484.01.MZZZZZZZ.jpg 4480065296.01.MZZZZZZZ.jpg 4004306353.01.MZZZZZZZ.jpg
この1冊ですべてわかる 金融の基本 道具としてのファイナンス 現代の金融入門 [新版] (ちくま新書) 金融入門 (岩波新書)

目次に戻る

inserted by FC2 system